今も役立っている学生時代の研究で培ったスキル

数学を専攻して活かしている能力は主に以下の2つです!
・定義(ルール)を都度確認すること
・定義に当てはまるように丁寧に論証すること

はじめに

みなさんは就活で自身の専攻と志望動機などを結び付けて話す機会はありましたでしょうか。私も当時、「専攻内容で学んだ〇〇がアクチュアリーになって役に立つ!」と苦しいながら話していた記憶があります。

そもそも専攻内容と結び付ける以前にどのような能力が社会人で役に立つかということがみなさんわからないのではないでしょうか。

私は実際に社会人となった今、役立っていると思う能力がはっきりとわかっています。その内容について記載したいと思います。就活生の方が回答を作る際の一助になれば幸いです。

定義(ルール)を都度確認すること

一つ目は定義(ルール)を確認することです。この能力は私自身何度もお世話になっています。状況を踏まえながらどのように役立っているかを以下に記載します。

会社では常に様々な取引が行われており、拡大を続けるために従来行っていない取引を行うことが多々あります。

例えば、業務に使用する機械の調達方法として「購入」のみ行っていた会社が初めて「借りる」という取引を行ったとします。この場合、この「借りる」という処理を従来の「購入」と同様の処理をしてよいかという問題が発生します。

例えば、このような機械を初めて借りてきたと仮定しましょう。

この問題への解答は「No」です。多くの場合、「借りる」という取引は「リース」という取引に該当します。その定義(ルール)に照らして処理する必要があります。

では、なぜこのような解答ができるのでしょうか。それはこの新規取引について定義(ルール)をきちんと確認した(「リース」という取引の定義を確認し、今回の「借りる」が該当することを確認した)からです。この確認を怠り「購入」と同様の処理を行った場合は、事後外部より指摘を受け処理の訂正を行うことになります(加えて再発防止策の策定なども必要になり、業務量が2倍3倍に膨れ上がります)。

このように定義(ルール)の確認を都度行うことは、処理を行う上で非常に重要な能力となります。また、このような事例以外にも資料記入の要領、社内マニュアルなどといったルールもきちんと確認したうえで私は業務を行っています。

定義を確認することは当たり前の能力と思われるかもしれませんが、当たり前にできない人が意外と多い印象です。

定義に当てはまるように丁寧に論証すること

二つ目は定義に当てはまるように丁寧に論証することです。

先ほど定義(ルール)を確認し、定義(ルール)に照らして処理を行うというお話をしましたが、定義(ルール)に当てはまるかがすぐにわからない取引というのもあります。

しかしながら、今ある定義(ルール)に照らして何かしらの処理を行わなければいけません。そのような取引については、該当するであろう定義(ルール)に当てはまるように論証し、外部(主に監査法人を指します)に許可をもらう必要があります。

実際に処理を検討する際には定義(ルール)を確認するだけでなく、その取引の前提や定義(ルール)を把握し、定義(ルール)とのギャップを理解したうえで、論理的に丁寧にギャップを埋めていく作業が必要となります。

主に私が作業するときは以下のように情報をまとめながら進めています。

  • 取引の前提
    金額、内容、時期、他の取引との関連性、論証に必要なデータなど
  • 定義(ルール)の確認
    ゴールとなる法律や基準の抜粋
  • 論証
    取引の前提や集めたデータなどから、どのように定義(ルール)を満たしているかを論証
    明らかなことと明らかでないことに区別しながら丁寧に行う

「取引の前提」は数学でいう「仮定の確認や必要な定理などの収集」と置き換えれば(「定義(ルール)の確認」、「論証」は数学でも同様ですね)、わかりやすくイメージできると思います。

おわりに

会社や業務内容によって、専攻の内容をそのまま使えるかどうかは変わってきます。しかしながらその専攻で学んだ姿勢や考え方は社会人になっても使えるものが多いと感じています。そのような能力をきちんと把握したうえで、会社説明会・OB訪問・インターンを経験し、より説得力のある文章を作り上げていただけたらと思います。