数値チェックを行うことで、成果物の検証ができることはもちろん、他部署からもらった資料が期待されている機能を果たすかどうかを確認することができる。
はじめに
社会人となり職場に配属されると、(作業的に)簡単な仕事から振られるようになるのですが、その仕事の中に「数値(資料)チェック」というものがあります。
先輩や上司から、「〇〇さん、この資料のこの数字チェックして!」、「この資料の確認よろしく!」と声をかけられます。
任せられた新人は、まず先輩の言うとおりに「A資料のBという数字」が「C資料のDの数字」と一致していること(C=D)を確かめます。いったん言われたとおりに作業を行うのですが、そもそも一般的に数値チェックと言われて何をすればいいのでしょうか。数値チェックとは何?という疑問が浮かんできます。
私も当時、「数字チェックがなぜ必要か」、「そもそも何をする作業なのか」ということが明確になっていませんでした。この記事ではそれを言語化して共有したいと思います。
(実を言うと、任せる側には、新入社員にミスを発見してもらう意図はあまりなく、チェック能力を鍛えてほしいという意図があったりします。これはまた別のお話ですが・・・。)
数値チェックとは

数値チェックとは、「①を正としてに、③の数値の正確性を検証する」または「①および③を正として、⑤の数値の正確性を検証する」ことです(状況に応じて、もととなる資料は変わります)。
数値チェックをする際に大事なことは、①(または③)として使用する資料の選択を誤らないことです(チェック方法をどうするかという問題はありますが、それは別記事で紹介予定です)。
例えば、②や④の資料を選択したと仮定しましょう。②や④は、誰かが作成した資料となっていて、中身の正確性が保証されていません。もしかすると、計算を誤っているかもしれません。
ヒューマンエラー等がの可能性がある資料を用いて検証を行っても、⑤の正確性を「数値チェック」で担保できません。
一方、①(および③)の資料は、一般的に正確性が担保されている(もしくは後続作業者の部署に作成責任がない)資料となっているためこれらを使用して⑤を検証すれば、⑤の正確性が担保できるというわけです。
数値チェックをもし怠ると・・・?
ここでは数値チェックを怠るとどのような結果になるかということについて、例を挙げて紹介したいと思います。
例えば、使用経費の内訳を報告する業務を与えられたとしましょう。業務フローは次のようになると思います(とりまとめ部門は、会社の総勘定元帳が確認できる部署を想定しています)。
- とりまとめ部門が、経費精算部署へ資料作成を依頼
- 経費精算部署が、領収書等をもとに提出資料を作成
- とりまとめ部門が、提出資料を受領
- とりまとめ部門が、提出資料をもとに報告資料を作成
- とりまとめ部門が、部長等へ報告
とりまとめ部門が数値チェックを怠ったまま提出し、部長等から作成資料の数値合計と総勘定元帳数値が合っていない旨を指摘されてしまいました。
では、なぜ3.の時点でチェックするべきなのでしょうか。
なぜならば、3.までに経費精算部門が画像①~③の作業を行っているため、③の資料の正確性が担保されておらず、期待される役割を果たす資料かどうかが分からないからです。
そのため、まずこの時点でとりまとめ部門が正としている総勘定元帳の数字等と照合し、提出資料が期待される役割を果たす資料かどうかを確認することが必要です。
繰り返しになりますが、ここでとりまとめ部門は「総勘定元帳」を正として「提出資料」のチェックを行っています。
5.のタイミングで数値チェックを行うのがベストではない理由は、とりまとめ部門の集計ミスなのか経費精算部門の作成ミスであるかを特定する作業が別途発生するためです。
2度手間になってしまうので、最後にだけチェックするというのは効率という観点からお勧めしません。
このような事象が発生するため、適切なタイミングで数値チェックを行わないと成果物の数字を正確に作成できません。数値チェックの目的として、これを回避することが挙げられます。
数値チェックの具体例
ここでは、どのような資料を正としてどのような資料をチェックするかについての例を列挙したいと思います。以下のような資料の選択が考えられます。
正とする資料(画像①):紙で出力された区分経理別数値
検証する資料(画像③または⑤):データ出力の明細を区分経理別に集計した数値
正とする資料(画像①):総勘定元帳数値
検証する資料(画像③または⑤):他部署提出資料の合計額
正とする資料(画像①):領収書、契約書等の証憑類
検証する資料(画像③または⑤):計上伝票
おわりに
今回は数値チェックの定義やその目的についてお話させていただきました。チェック方法というのは具体的に色々あると思いますが、その方法についてはまた別記事でお時間あるときにご紹介したいと思います。数値チェックの定義や必要性が分からない方に納得いただければ幸いです。