仕事を早く終わらせるために意識していること

はじめに

残業時間規制やワークライフバランス等も重視されており(企業によっては人手不足もあると思います)、業務効率化とよく耳にすることが多いです。最近だとAI、ChatGPT、システム化といった話を聞くように思います。

そもそもそういった流行に乗る前に基本的な意識は各々できているのでしょうか。私が普段業務を早く終えるために(業務効率化のために)意識していることを当記事でまとめたいと思います。

意識していること一覧

ワークシートの事前準備をする

定例(年、四半期、月、週単位)業務については多くの場合ワークシートが作成されていることが多く、該当箇所を更新すれば今回分の数値が作成できるといった流れの業務が多いです。

ただ該当箇所の更新タイミングがすべて同じであることは少なく、段階を踏んで作成が終わる場合が多いです。

そのため作業を分割する(事前準備する)ことで、効率的に作業することができます。

例えば次のようなフローで業務を行うことを考えてみましょう。

この場合12月14日にワークシートA,B両方を更新するのではなく、11月30日~12月13日のスキマ時間にワークシートAを更新しておきます。

そして12月14日にワークシートBを更新して、チェック・承認等必要な手続等を済ませその日もしくは翌営業日に提出します。

まとめてやらずに、分割して行う。基本的なことですが、多忙な場合などに忘れやすいです。

学生時代夏休みの宿題を最終日にまとめてやるタイプの人は、作業をまとめて行う傾向が強いので、何か行動を変えようと思った場合には試してみてください。

ワークシートを改良する

ワークシートのレベルは、エクセル式コピーで更新可のものから個別入力が多いものまで、様々です。

後者のワークシートは時間がかかるだけではなく、ミスが起こりやすくなります。そのため、限りなく個別入力を減らすことを考えたほうがよいです。

個別入力を減らすワークシート改良を例を用いて考えてみましょう。

例えば、生徒のテスト点数管理する表(ワークシート)をエクセルで作成しており、C君の数学テストで5点の加点修正があった場合を考えます。

ただ安直に修正を盛り込んだ表を作成すると以下のようになります。

上表のメリットは作成する表が一つで済むことです。一方でデメリット(リスク)はいくつかあります。作業効率化という観点からは、特に最後三つのデメリットがネックです。

  • 修正後点数しかわからない(修正した点数)が一目でわからない
  • 「+5」の数字が何を意味する数字か(将来)わからなくなる可能性がある
  • C君の5点加点修正を別の科目もしくは別の生徒に入力しやすくなる
  • 数学記号(ここでは「+」)で別の記号(「-」、「*」、「/」)を入力する可能性がある
  • 多数の修正があった場合同じ入力を複数のセルで行う必要がある
  • 「=」、「+」といった余分な入力を行う必要がある
  • C君で訂正が行われているかを検証する場合、D4セルの中身を見に行く必要がある。

こういったデメリットを少しでも小さくするには例えば次のような改良が考えられます。

合計表(下図左)、元点数の表(下図真ん中)、修正点数の表(下図右)の3種類作成し、合計表ではエクセル関数を用いる方法です。

このような改良を行い、元点数の表、修正点数の表に数値を更新するのみのワークシートにしておけばある程度上で列挙したデメリットを小さくすることができると思われます。

個別入力を可能な範囲でエクセル式(場合によってはマクロ等)へ置き換えることで作業時間が大幅に短縮されます。

過去の作成過程(マニュアル)を復習する

毎月や毎週ある業務は年12回以上行うため、記憶にも定着しやすいですが、四半期、年単位の業務は次回作業時に大抵やり方を忘れています。そのため、過去の作成過程(マニュアル)を復習しておくべきです。

やり方を忘れていた場合は成果物作成に時間がかかるだけでなく、他部署に迷惑をかける可能性があります。

例えば自分で完結する作業のみであれば、残業等で(時間はかかるものの)取り返しがつきます。しかしながら他の部署へ依頼をする工程が含まれていた場合は他部署に迷惑をかける可能性があります。

そういった事態を回避することも踏まえ、頻度が少ない業務については次回時期到来前にマニュアルや前回の作業内容を復習しておくべきと考えられます。

もしかすると記憶に定着し復習が不要となり、作業スピードが結果的にあがっているかもしれません。

どの業務も回数が過程や結果に影響してくるように経験上感じています。復習をしましょう。

業務手順の順序を考える

業務手順を限りなく一般化して区分すると、「自分の作業」「他への依頼」の二つと私は考えています。基本的に「他への依頼」については待ち時間が発生するため、「他への依頼」を終え、待ち時間で「自分の作業」とすると無駄な時間が削減されます。

例えばA資料(自部署資料)、B資料(他部署資料)を用いて、成果物を作成する業務を考えましょう。

作業工程は次のとおりとします。

みなさんならお分かりと思いますが、正解の順序は項番2、1、3(もしくは2、3、1)、4、5です。項番1からと考えた人はもう一度考えましょう。

この業務を項番1から順に行うと、項番2と3の間で無駄な時間が発生します。

依頼先の部署でも作業が必要であるため、多くの場合待ち時間が発生します。項番1を終えてるため、その間は何も仕事ができないわけですから、その待ち時間は無駄な時間になってしまいます。

しかしながら正解の手順のように項番2から始めればその待ち時間で項番1の作業を終え、待ち時間なく項番3の作業に入ることができます。

このように仕事の順序次第で無駄な時間が発生することを避けることができます。仕事は「他への依頼」を終え、待ち時間で「自分の作業」の順でを意識するようにしましょう。

スケジュール表を作成する

複数の業務を掛け持ちすることが当たり前になります。そのため、状況によってはいつ何をすればいいかがわからなくなるだけでなく、いつ自分がその業務出来るのかがわからなくなる場合があります。

それを解決するために例えば下図のような簡単なスケジュール表を作成してみましょう。俯瞰的に自分の状況を確認できるため、マクロ的に業務順序を効率化することができます。

簡単な上図のようなものでも様々なことが可視化されます。例えば以下のようなことです。

  • 3,4日は(13日以降に締切がある)業務D,Eの事前準備ができる
  • 業務B作業を3日にずらして、さっき入った緊急の業務を2日に作業できることが可能
  • 業務C作業には他部署への依頼があるから、6,7日に前倒しでやっておこう

基本的に複数の業務を掛け持ちすることが当たり前であるため、業務間の状況を把握(整理)しておくことが業務効率化の手助けとなります。

上述した「業務手順の順序を考える」ことも組み合わせることで、より一層業務スピードを上げることが可能であると思います。

1時間で仕上げ、何度も反復する

とにかく素早く初版(たたき台)を完成させることが業務を早く終える近道です。その後様々な人の意見を取り入れ、何度も改善する(=反復する)しながら成果物を完成させていきます。

何度も反復することは時間がかかるように思いますが、やってみると意外とそうでもありません。また、自分だけで考えていても結果的に出来が悪かったり、考慮漏れが発生することもあります。

短時間で終わらせるのであれば、極端に質が悪いと考える人もいると思います。しかし最終的に評価されるものは成果物であるわけですから、初版(たたき台)では及第点で基本的には問題ないと考えます。経験上、初版(たたき台)の作成時間で成果物の質に大きな変化があったことはあまりありませんでした。質を決めたのはその後の反復を何回行うかだったと考えています。

そしてこの反復が結果的に根回しとなり、反対意見なくスムーズに承認されるといったことにつながることもあります。

私は初版(たたき台)作成時間の目標として1時間を常に掲げています。経営層からスピード感を求められることも時によってはあり、その期待に応えられるように普段から業務スピードは意識しています。

話がそれますが、業務によってはミスが生じた場合もあります。そういった場合は作業工程やチェック工程を改良して次回以降に備えています。

なお上司によっては自分でちゃんと考えて80点ぐらいの仕上がりで持って来いと怒る場合もあるので、所属する部署の上司に合わせてください(笑)。

番外編

ここでは具体的な方法や漠然とした意識について番外編として記したいと思います。

業務のルールややり方を変える(なくす)

業務ごとで必要性には差があります。そのため、業務によっては変える(なくす)こともできます。

例えば契約者に支払う金額計算に細かい作業(5億円の支払に対して、200円変わる程度とでもしましょう)があったとします。それを変える(なくす)ことはできるでしょうか。もしかすると些細な金額と思う人もいるかもしれませんが、当然できません(当然やってはいけません)。なぜなら契約で定められているからです。

一方で例えば利益500億円の会社の2万円の決算整理仕訳作成はどうでしょうか。同じように、利益500億円に対して2万円は些細な金額です。しかも、会計には重要性の原則というものがあります。

そのため、この決算整理仕訳の必要性は薄いと考えられ、その作成は関係各所に適切に説明すれば変える(なくす)ことも可能と思われます。

このように業務の中にも必要性には差があります。必要性の薄いものは適切に関係各所に説明すれば変える(なくす)ことが可能です。

当然その変える(なくす)業務の抽出や関係各所への説明には多大な労力が初期にかかります。それでも将来業務時間(例えば消費時間×回数/年×100年もの時間!!)と比べれば十分におつりがくると考えられます。

そのため機会があるごとに必要性を見直し、真に必要な業務に絞って行っていくことが業務効率化への一助になると考えられます。

外部委託する

業務量に対する人員不足や退職等に起因する人員不足であっても、人員補充(追加)容易でない場合が多いと思います。中途採用も他の部署から異動で持ってくることもかなり難しい問題だと考えられます。

そのため、他社に自社の業務を委託するということが方法の一つとして考えられます。業務効率化には必ずしもつながりませんが、業務負荷を下げる効果は期待できます。

しかしながら委託するにあたって(一般的に考えても)様々なハードルがあります。機密事項、個人情報、委託費用、委託範囲、コンプライアンス等々です。

また業務負荷減少への不確実性や提出される成果物の質の問題もあり、結果的に外部委託をやめるもしくはやり直すといったことにつながる可能性もあります。

社内においてもハードルが高く、結果も一定未知数といったことから踏み切ることはなかなか難しいですが、業務負荷軽減の選択肢の一つになります。

10年、100年先を見据えて仕事に取り組む

この項目は具体的にかけることは何もありません。私は毎回業務を行うときは10年、100年先を見据えたものになっているかといったことを常に意識しています。

もう少しわかりやすく書くのであれば、「その場しのぎの対応になってないか」といったことになります。ワークシートで10年、100年先の入力欄を準備するといったことではありません(笑)

結果的に自分の手間がかかっただけで恩恵が何もなかったという場合もありますが、そのような行動を意識していれば周りから評価される場合もあります。

保険会社は契約者の人生をこの先100年お預かりしていくため、直接契約者に紐づかない業務であったとしてもそういった意識持つように心がけています。

私はこの意識が(一時的に非効率はあっても、将来的には)効率化につながると信じています。

おわりに

業務効率化といっても会社により状況は様々で普遍的な解決方法はないと思います。しかしながら、塵も積もれば山となるといった言葉もあり、一人ひとりの意識が変われば、ある程度の効率化は可能になるのではと考えています。

流行に乗るのではなく、人の地盤を固めながら適切な技術を導入して業務効率化を図れればよいと考えています。