はじめに
1次試験年金を合格することができましたので、私が行った勉強方法やスケジュールについて記載します。今後受験される方の参考になれば幸いです。当記事は、以前執筆した以下の記事の内容が前提となっている箇所がございますので、未読の方はこちらからお読みください。
はじめに ポイント!・勉強方法は十人十色、他者の方法は参考情報・当記事で紹介する方法は執筆者にハマった方法・未合格の人は、色々な方法を試して自分にハマる勉強方法を見つけよう 今回はアクチュアリー1[…]
年金を受験するにあたっての注意事項
年金を受験するにあたって、事前に知っておいたほうがよい事柄をお伝えします。
難易度のブレが大きい、何年かに1度簡単な年度(ビッグウェーブ)が来る
年金は難易度のブレが非常に大きく、厳しい年度にあればどれだけ勉強しても合格が厳しくなります。しかしながら、数年に1度難易度が低い年度が来ます(過去の傾向から、合格率が低い年度や合格基準点が下がった翌年度であることが殆どです)。
難しい年度が続いてもあきらめず受験し続けることが必要です(試験委員も難易度調整に悩んでいるのではと考えています)。
暗記よりも理解に重点を置こう
よくアクチュアリー試験は暗記で乗り切れるという人が多いです。私もその意見に賛成です。しかしながら、年金には理解も十二分に必要であると思い知らされました。
設定される条件によって、資産(拠出した保険料の合計+運用益)と負債(脱退率などを加味した将来必要な支払額を一定の利率で割り戻した金額のイメージ)の何がいつどの程度動くのかということが把握できるようになっていないと問題が解けません。
例えば、給付(支払い)を行うと、資産からその金額を捻出するため資産は減少します。同様に、将来支払う金額が減ったのだから負債も同様に減少します。中途加入・中途脱退・年金選択などいろいろありますが、このようなイメージが制度ごとにすぐ浮かぶでしょうか?
生保数理の記号、知識が前提
教科書の最初に年金数理で使用する生保数理の記号の解説が書かれています。しかしながら、ここから勉強を始めるようではスケジュールが間に合わなくなることが多いです。生保数理を勉強してから、年金数理の勉強を始めることをお勧めします。生保数理の知識だけで回答できる問題もあるため、生保数理の知識は身に着けておいたほうが良いです。
計算力も大事
数学や損保数理ほど計算力はいらないだろうという考えの人もいると思います。しかしながら。設定が細かく、多くの数値を1つの式に盛り込んで算出する問題もあり、引き続き高い計算力は必須です。数学要素があまりなさそうだからと油断していると足元をすくわれます。
速読力(スピード感)を訓練する
年金は問題文が非常に長いことで有名です。A4用紙1枚全て問題文ということも頻繁にあります。素早く一読したうえで、必要な情報を必要なタイミングで参照する能力が必要になります。問題演習の中でどのような情報が重要なのかを見極められるようにしましょう。
スケジュール、勉強方法
スケジュール
1年目のスケジュール
- 2月中旬~6月末:教科書通読
- 6月末~8月末:合格へのストラテジーを用いた演習
- 8月末~9月中旬:過去問1,2年
- 9月中旬~試験当日:上記含め過去問10年分2周
2年目のスケジュール
- 2月中旬~8月末:合格へのストラテジー中心の演習
- 8月末~9月中旬:過去問3,4年
- 9月中旬~試験当日:上記含め過去問10年分4,5周
勉強方法
1年目は教科書を通読、合格へのストラテジー1周、過去問10年分1,2周という努力不足でしかない分量しか行っていませんでした。よって、理解することに重点を置いて演習を行いました。年金は理解が難しく、早い段階で短く深く過去問演習を行うことを決めていました。
2月中旬~8月末の勉強方法
この期間は時間をかけて、腑に落ちるまで理解しながら合格へのストラテジーを用いて演習していました。
8月末~9月中旬の勉強方法
9月~10月ごろの社内模試に備えて、過去問を数年分解きました。その際も理解することに重点を置いて過去問の復習を行いました。
9月中旬~試験当日
早い段階で短く深く演習を行うことを決めていたため、過去問の演習年数は10年としました。10年分を何度も何度も解き、1,2時間で90点以上取れるレベルにまで仕上げました。基礎科目のうち90点の水準にあげるまで一番苦労しました。
受験歴(申し込み歴)
1回目:不合格III
2回目:合格
使用書籍
使用書籍は教科書、合格へのストラテジー、過去問です。途中、あまりにも理解が進まなかったため、「年金数理概論 第3版 ー年金アクチュアリー入門ー」を購入し、隙間時間で読んでいました。
参考サイトなど
年金については、特段参考サイト等はありません。
試験本番時の心の持ち方など
試験開始直前の待機時間、物音が立てば緊張の糸が切れてしまいそうなぐらい緊張していました。試験開始と同時に封筒から問題用紙を取り出すと、問題用紙が盛大に折れ曲がっていてメンタル面で出鼻を完璧にくじかれました。
一方で、初めの問題は過去問準拠の問題であったため、何とか持ち直してスタートを切ることができました。解答中ずっと足と手が震えており、解答方法が思いつかない・わからないという場面もありましたが、何とか90点分解答できました(合ってるか確信はできませんでした)。
終了後はビックウェーブだという声が聞こえていましたが、合格発表までずっと不安なまま過ごしていました。
おわりに
年金は初回受験で超絶難化年度にあたり、心がくじけました。先輩から「簡単な年度が来るから頑張って続けろ」とアドバイスいただき、何とかモチベを保ちながら勉強を進めることができました。損保数理と並んで、1次試験の関門と呼ばれていますが、とにかく継続して受験し続けることが大切な科目です。