はじめに
このたび日商簿記2級に合格することができましたので、勉強方法やアクチュアリー試験対策としてみた感想などを記録に残したいと思います。不幸にも努力不足で数回不合格となり、数か所テストセンターを訪問することができましたので、それも併せて記録に残します。
日商簿記2級の受験に当たって知っておくべきこと

紙試験(統一試験)、CBT試験どちらでも受験可能
従来、日商簿記2級は決められた日程で年3回しか受験できませんでしたが、現在はテストセンター(CBT試験)で何度でも受験可能です(間隔が浅い連続受験は不可)。受験費用は1回につき約5,000円です。
なお、テストセンターでの受験は定員が決まっており、特に土日は満席で受験不可の場合も多いです。何度も確認して申し込むことをお勧めします。
合格点は70点(100点満点)以上、試験時間は90分
アクチュアリー試験と異なり、合格点が60点ではなく70点となっています。配点が高い問題(4点)もあり、70点は意外とシビアなラインです。また途中の数字を解答できない(間違える)とそれ以降の数字も解答できない(間違える)ということが発生するため、連鎖的に失点し簡単に不合格になります(2敗)。
試験時間は90分となっていますが、時間内に終わる程度の分量です(不合格であった2回目は電卓を忘れましたが、一通り解ききることができました)。
工業簿記の配点が全体の4割を占める
日商簿記2級は、商業簿記・工業簿記が試験範囲となっています。アクチュアリー試験では範囲外の工業簿記の配点が意外と多く、避けては通れません。
一方足切りはないため、商業簿記で満点が取れるのであれば、10点取るだけで合格できます。しかしながら、商業簿記を満点で乗り切れる人は多くないと思いますので、合格を目指すのであれば工業簿記をしっかりと勉強すべきです。
受験することとなったきっかけ

受験することを決めたのは2月下旬ごろです。アクチュアリー試験の会計・経済・投資理論(以下KKTと表記)を合格したため、「今さら会計・・・」という気持ちが強かったですが、以下のような理由があり、受験を決めました。
- 経理業務を離れることになったが、広く浅く経理処理(会計処理)を知る必要が出てきたため。
- 日商簿記2級を持つ同僚・先輩・上司が周りに多かったため。
- 経理処理(会計処理)を最低限知っている客観的な証明書になるため。
- KKTの受験直後で、知識が(少し)残っていたため。
- 4月以降はアクチュアリー試験勉強が主となるため、このタイミングを逃すと受験が来年になってしまうため。
日商簿記2級はKKT(アクチュアリー試験)対策になるか?

日商簿記2級はKKT対策にはならないと感じました(ならないわけではないですがコスパが非常に悪いです)。理由は以下のとおりです。
KKTと日商簿記2級で試験範囲が異なる
まず一つ目の理由は、試験範囲が異なることです。大きな論点でいうと、「連結決算(商業簿記)」および「工業簿記」が日商簿記2級の試験範囲となっていてKKTで試験範囲外であるという点です。
また、この3つの内容で最低40点~60点分の配点があるので基本的に避けては通れない内容になっています。
日商簿記2級合格に向けてこれらの論点をしっかりと勉強する必要があるものの、KKTで試験範囲外となることからKKT対策にならないと感じました。
日商簿記2級は計算が簡便的になっており、KKTの計算練習にならない
二つ目の理由は、日商簿記2級では共通の論点であっても計算が簡便化されており練習にならないためです。私が把握している限り、以下の内容は計算が非常に簡便的になっていました。
項目 | KKT | 日商簿記2級 |
ファイナンスリースの利息計算 | 難(利息法) | 易(定額法(利子抜き法)) |
社債の発行と償還の計算 | 出題あり | 出題なし(※) |
退職給付引当金の計算 | 出題あり | 出題なし(内容としては登場)(※) |
- ファイナンスリースの利息計算
KKTでは「利息法」・・・実効税率等を使って計算する方法です。
日商簿記2級では「定額法(利子抜き法)」・・・リース料総額とリース資産購入価格の差額(利子分)をリース期間にわたって定額で配分する方法です。さらに簡便的な「利子込み法」もあります。 - 社債の発行と償還の計算
社債の発行と償還の計算(満期まで)は、私の勉強した限り日商簿記2級に登場しませんでした。 - 退職給付引当金の計算
日商簿記2級では、退職給付費用の数字が問題で与えられており、「退職給付費用 XXX / 退職給付引当金 XXX」の仕訳を作成できれば問題が解けます。退職金の支払や運用収益等の数字を用いた退職給付引当金の計算は、私の勉強した限り全く登場しませんでした。
同様の内容が出題されるものの計算が簡便化されており練習にならないため、KKT対策にならないと感じました。
使用教材、スケジュール、勉強方法

使用教材
使用教材は、CPAラーニングです。
無料登録を行えば、簿記2級の講義動画・教科書・問題集を無料で利用できます。教科書・問題集はPDFで配布されており、ipadやスマホに入れて携帯できます。
講義動画はYouTubeにアップロードされているため、倍速で視聴できます。倍速で学習すれば短期集中で学ぶことも可能かと思います。
スケジュール
2月下旬:受験を決める
~3月初旬:1,2週間程度で講義動画を見終え、問題演習に取り掛かる
~3月末:隔週で受験し、3回目でようやく合格
勉強方法
講義動画を倍速で視聴し、配布されている問題演習に取り掛かりました。配布されている問題集(基本問題集除く)は結果的に2,3周ほど解きました。
受験歴

私の受験歴は以下のとおりです。商業簿記は満点60点、工業簿記は満点40点になります。本来は大問ごとに点数が開示されますが、ここでは分野ごとの記載に留めさせていただきます。
1回目:不合格 66点(商業簿記:50点、工業簿記:16点)
2回目:不合格 63点(商業簿記:42点、工業簿記:21点)
3回目:合格 90点(商業簿記:50点、工業簿記:40点)
商業簿記は安定して約8割取れていましたが、工業簿記の不出来で2度も不合格だったという結果でした。みなさんは、私を反面教師にして工業簿記の演習をきちんとしてください。
受験したテストセンターの紹介
最後に受験したテストセンターの紹介です。待合室の広さ、PC、駅からのアクセス、周りの環境、トイレの大きさに絞って、個人的な評価とともに紹介します。
高田馬場テストセンター
項目 | 個人的評価 |
待合室の広さ | × |
PC | 〇(普通のデスクトップPC) |
駅からのアクセス | △ |
周りの環境 | 〇 |
トイレの広さ | × |
待合室はほぼないと言ってよい広さしかありません。入室後はなにもトイレ以外何もできないと考えていたほうがよいでしょう。
普通のデスクトップPCが配置されていました。確かDELL製だったような記憶があります。
駅から近いところにあるのですが、エレベーターを用いてしか入室できず到着から入室までのアクセスが悪いです。
駅から近いところにありますが、オフィスビル内にありますので周りの環境はよかったと感じました。
トイレは狭く個室が一つだけしかありませんでした。
銀座CBTS歌舞伎テストセンター
項目 | 個人的評価 |
待合室の広さ | 〇 |
PC | 〇(普通のデスクトップPC) |
駅からのアクセス | 〇 |
周りの環境 | × |
トイレの広さ | △ |
待合室は広くはないですが、外にも椅子が配備されていました。
普通のデスクトップPCが配置されていました。確かDELL製だったような記憶があります。
駅から近いところにあり、非常にアクセスしやすかったです。
同じ階に歌舞伎座の観光用の施設があり、観光客が大勢います。人によっては入室までに心をかき乱される可能性があります。
観光地であることもあり、トイレは数個個室がありました。受験者数や観光客を考えると個室の個数は及第点という印象です。
ANES新宿センタービルテストセンター
項目 | 個人的評価 |
待合室の広さ | △ |
PC | △(ノートPC+ディスプレイ) |
駅からのアクセス | △ |
周りの環境 | 〇 |
トイレの広さ | 未確認 |
待合室はほぼないです。椅子はありますが、数人座れる程度の個数しかありませんでした。
他のテストセンターと異なり、ノートPC+ディスプレイが配置されていました。ディスプレイはノートPCの画面を複製していました。文章を打つ際はフルキーボードのほうが個人的に慣れているので、使いづらく感じました。
駅から近いところにあるのですが、会場がビルの46Fにあります。高所恐怖症ではありませんが、さすがに高すぎるため、変に気を使って受験する必要が出てきそうです(最近地震が多いため)。
駅から近いところにありますが、オフィスビル内にありますので周りの環境はよかったと感じました。
トイレは未確認ですが、オフィスビルのためそこそこ個室の数はあるのではないかと予想しています。
おわりに
3度も受験することになりましたが、とりあえず合格できてよかったです。怪我の功名で、3か所もテストセンターを訪問することができたのでアクチュアリー試験の下見にもなりました(実際に会場がどこになるかはわかりませんが・・・)。4月以降はアクチュアリー試験に向けて再度エンジンをかけます!